店舗兼住宅とは?建築費用相場やメリット・注意点おすすめ間取りを紹介
店舗兼住宅とは、1つの建物の中に店舗と住宅があり、それぞれを行き来できる間取りを持つ住まいです。店舗兼住宅は理美容店や飲食店などのさまざまな業種で活用できる間取りであるため、気になっている人もいるのではないでしょうか。
通勤時間や交通費の削減などの面で魅力的なメリットを持つ店舗兼住宅ですが、建築するためには、設計上のポイントや、法律の規制について知っておかなければなりません。
本記事では、店舗兼住宅のメリットやデメリットを解説します。おすすめの間取りについても紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
店舗兼住宅とは
店舗兼住宅とは、1つの建物の中に店舗と住宅があり、それぞれを行き来できる間取りとなっている住まいです。後述しますが通勤時間がなくなる点や、家賃などのコストを抑えられるメリットがあるため、自営業を始めたい人や、家族経営を目指す人にも人気の間取りといえるでしょう。
しかしメリットにばかり気を取られ、店舗兼住宅のデメリットや、建てる際のポイントについて知っておかなければ、建築してからこんなはずではなかったと後悔することにもなりかねません。また店舗兼住宅を建築しようとしている土地の用途区分によっては、法律で要件が定められている場合もあるため、確認が必要です。ここからは店舗兼住宅の建築費用相場や、メリット、デメリットについて見ていきましょう。
店舗兼住宅のメリット
店舗兼住宅のメリットは、以下のとおりです。
・通勤のための移動時間がなくなる
・コストを抑えられる
・店舗部分を人に貸すことができる
順番に見ていきましょう。
通勤のための移動時間がなくなる
店舗兼住宅のメリットとしてまず挙げられる点が、通勤のための移動時間がなくなることです。店舗兼住宅は自宅と店舗が同一の建物内にあるため、移動するだけで出勤でき、交通費もかかりませ
ん。休憩中は自宅に戻り用事を済ませたり、ひと息ついたりすることもできるほか、忙しい時間帯には同居している家族を呼び出して手伝ってもらうことも可能です。通勤の移動時間や交通費の削減は、店舗兼住宅の大きなメリットといえるでしょう。
コストを抑えられる
コストを抑えられる点も店舗兼住宅のメリットです。自宅と別の場所に店舗を構えて営業する場合、賃貸物件であれば敷金や礼金などの初期費用と毎月の家賃がかかりますが、店舗兼住宅の場合は必要ありません。
建築費用の一部を経費として計上できるほか、公共料金や通信費、保険料などの経費においても自宅と店舗で一括して管理できます。毎月かかるコストを1ヶ所でまとめて管理できる点も魅力的なメリットです。
店舗部分を人に貸すことが出来る
店舗兼住宅は、店舗部分を人に貸すことができる点もメリットです。自身や家族が店舗を運営しない場合でも、店舗部分を人に貸してしまえば毎月家賃収入を得られます。
たとえば、人に貸す前は自営業を営んでいた場合でも、店舗を借りた人から預かる敷金で、修復費用の一部を補うことも可能です。店舗部分の内装を借りた人が自由におこなってよいとすれば、建築費用も浮かせられます。
住宅ローンの返済中は他人に貸せないため注意が必要ですが、もしも自営業をしなくなった場合でも、人に貸す選択肢があると知っておくことは大切です。
店舗兼住宅のデメリット
店舗兼住宅のデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
・土地を探すことが難しい
・将来的に売却しづらい
・プライベートに支障をきたすことがある
順番に見ていきましょう。
土地を探すのが難しい
店舗兼住宅のデメリットとしてまず挙げられる点が、土地を探すのが難しいことです。店舗兼住宅はある程度、人通りがある場所に店舗を構えつつ、自身や家族の住みやすさも考えなければいけません。
たとえば、繁華街のような人の多い場所は店舗を構えるには最適ですが、人の気配を常に感じてしまうため、住むには適さないこともあります。同様に住みやすさを重視して、閑静な住宅街に店舗兼住宅を建築してしまえば、店舗への集客が難しいと感じてしまうでしょう。
店舗兼住宅を建てようと思うのであれば、常に情報感度を高め、住みやすさと集客のバランスが取れた土地を探すことが重要です。
将来的に売却しづらい
店舗兼住宅は、将来的に売却しづらいこともデメリットです。メリットで自営業を辞めた場合でも店舗部分を人に貸すことができると前述しましたが、住宅ごと売却するとなると、一般の住宅に比べて需要が少ないため、売却に時間がかかることが予想されます。店舗兼住宅を売却する場合、住居か店舗のみの建物に建て替えてから売却することも考えなければいけません。タイミングよく店舗兼住宅として利用したい買い主が現れればよいですが、売却しづらい建物であることは、建築の段階で頭に入れておくとよいでしょう。
プライベートに支障をきたすことがある
3つ目のデメリットは、プライベートに支障をきたすことがある点です。店舗の業種にもよりますが、深夜までやっている居酒屋などの場合、夜遅くまで人の気配がして家族がストレスを感じてしまう可能性もあります。
近隣住民との付き合いは店舗の営業も考慮しなければならず、飲食店の場合はにおいや害虫などの問題で、苦情を言われる場合も考えられるでしょう。メリットが多く魅力的な店舗兼住宅ですが、店舗だけではなく住居部分も兼ねているため、自身や家族の休まる場所として成り立つのか、事前にしっかりと考えることも大切です。
店舗兼住宅でおすすめな間取り
店舗兼住宅を建てようと思った際におすすめの間取りは、以下のとおりです。
店舗部分は1階に配置する店舗と住宅の入り口は分ける従業員スペースを確保する
店舗部分はバリアフリーにする来客用駐車場を設置する
ポイントを押さえた間取りにしなければ、いざ営業した時にスムーズに集客できなかったり、家族や従業員が不便だと感じる事態になったりするかもしれません。おすすめの間取りについて解説しますので、順番に見ていきましょう。
店舗部分は1階に配置する
店舗兼住宅のおすすめの間取りとしてまず挙げられる点は、店舗部分を1階に配置することです。店舗部分を2階に配置してしまうと、お客様は店舗に入るために階段を昇らなければならず、視認性も良くないため、1階に店舗を配置した店舗兼住宅と比較して、一気に集客力が落ちてしまいます。
店舗兼住宅を建築する場合、誰が見ても店舗だと分かるような外観とし、入りやすい1階に店舗を配置するように意識しましょう。
店舗と住宅の入口は分ける
店舗と住宅の入り口を分けることも、店舗兼住宅を建築する際の重要なポイントです。店舗と住宅の入り口を一緒にしてしまうと、美容院やネイルサロンなどの落ち着いた店舗の場合、帰宅した家族によって静かな空間を乱されてしまう恐れもあります。
家族にとっても店舗と住宅の動線が一緒だと、プライベートを確保できない場合があるため、必ず店舗と住宅の入り口は分けましょう。なお、第一種低層住居専用地域で店舗兼住宅をつくる場合、設計上店舗と自宅が内部で行き来できることが条件となるため、実質的に他人に貸すことはできません。住宅ローンを借りて店舗兼住宅をつくる場合も自営業が前提となるため、入り口は同じでよいと思うかもしれませんが、動線を分けることで人の出入りが把握でき、セキュリティ対策にも繋がります。
従業員スペースを確保する
従業員スペースを確保することも、間取りのポイントです。従業員を雇う場合でも雇わない場合でも、在庫や掃除道具を置いたり、休憩や食事、事務作業をしたりするバックヤードは必要といえるでしょう。
またバックヤードのほかにも、店舗部分に従業員やお客様用のトイレも設置しておくことも忘れてはいけません。ただしトイレやバックヤードは店内を狭くする要因となるため、建築の際によく考えて配置する必要があります。
店舗部分はバリアフリーを意識する
店舗部分はバリアフリーを意識することも、忘れてはならないポイントです。いくら店舗を余裕のある設計としても、段差がある場合、ベビーカーで赤ちゃんを連れたお客様や、車椅子のお客様にとっては入りにくい店舗となってしまいます。
店舗のいたるところで不自由な部分は無いか、確認しましょう。トイレなどの段差ができてしまう部分に関してはスロープを設置すると、誰もが使いやすい店舗となります。
来客用の駐車場を設置する
店舗兼住宅の立地や店舗部分の業種により、来客用の駐車場を設置したほうがよい場合があります。たとえば着替えやメイク道具を持っていって荷物が多くなりがちなマッサージや、店舗が駅から遠い立地である場合、来客用の駐車場があれば便利です。
ただし駅から近い場所に、それほど滞在時間の長くない業種の店舗を構えるならば、駐車場をつくらない選択肢もあります。駐車場の有無は、店舗で営業する予定の業種や立地を考えて判断するようにしましょう。駐車場については後ほど月極駐車場を借りて確保できる場合もあるため、周囲に借りられそうな駐車場があるかどうかについても確認しておくとよいでしょう。
店舗兼住宅のメリット・デメリットを十分に理解しよう
店舗兼住宅は通勤時間や交通費が削減でき、家賃などのコストが削減できるため魅力を感じている人が多い間取りといえますが、土地を探すのが難しい点や、将来的に売却しづらい点、プライベートに支障をきたすことがある点など、デメリットも存在します。自分だけではなく一緒に暮らしていく家族の意見も取り入れ、さまざまな面から店舗兼住宅を検討するとよいでしょう。本記事では店舗兼住宅でおすすめな間取りについて5つ見ていきましたが、今回紹介したポイントや注意点を参考に、家づくりを進めてみてください。